2013年2月25日月曜日

全曲バイブル回想録 Fixing A Hole

マーク・ルイソン氏のレコーディング記録とは相違点が多いため、結果を得るまでの解説が必要かと思う。

先ずハープシコードの演奏者であるが、ルイソン氏のレコーディング記録ではジョンとされていたが、ジョージ・マーティン自身が自分で弾いたと証言しているのでこれを採用している。この証言の中では、ジョンはリズムギターを弾き、ポールのボーカルと同じトラックに録音されたとなっている。つまり、ポールのボーカルもガイドボーカルで、後で差し替えることが前提だったのだろう。結果的にジョンのギターは残っていない。

ジョージ・マーティンによると第2テイクは以下のようになっている。
1 ハープシコード(マーティン)、ベース(ポール)、ドラムス(リンゴ)
2 リードギター(ジョージ)
3 ボーカル(ポール)、リズムギター(ジョン)
4 コーラス(ポール、ジョン)

ここから以降の作業を推測すると、先ずはポールのボーカルを録音。
3 ボーカル(ポール)の再録音

これをテープリダクションして、新たな第3テイクとするが、その際にセカンド・ボーカルとセカンド・リードギターを加えながらリダクションしたと思われる。
予想:第3テイク
1 ハープシコード(マーティン)、ベース(ポール)、ドラムス(リンゴ)
2 リードギター(ジョージ)、コーラス(ポール、ジョン)、セカンド・リードギター(ジョージ)
3 ボーカル(ポール)、セカンド・ボーカル(ポール)
4 (空き)

最後に、空いたトラックへ再度、リズムトラックを録音したと思われる。
最終的なテープ構成:1 ハープシコード(マーティン)、ベース(ポール)、ドラムス(リンゴ)
2 リードギター(ジョージ)、コーラス(ポール、ジョン)、セカンド・リードギター(ジョージ)
3 ボーカル(ポール)、セカンド・ボーカル(ポール)
4 セカンド・ハープシコード(マーティン)、セカンド・ベース(ポール)、セカンド・ドラムス(リンゴ)

この、全ての演奏が二重になっている事実は、ルイソン氏のレコーディング記録からは読み取れない。モノバージョンとステレオバージョンを比較することで明らかになった事実である。それがジョージ・マーティンの証言と矛盾しないことから、この推測結果を採用している。

2013年2月23日土曜日

全曲バイブル回想録 Got To Get You Into My Life

実は10年以上前の自費出版本では分析を間違えていた曲である。
同期再生させた時にブラスの相違箇所は直ぐに分かった。ブラスの音が左右(モノバージョン側とステレオバージョン側)から聴こえたので、てっきりADTによるものと思って注意深く聴いていなかったようだ。
リマスター版を分析するに当たっては、もちろん新たな気持ちで調べ直した。そこでようやく中央にブラス音が無いことに気付いた。つまり、そこにある音をADTで二重にしたのではなく、他からコピー&ペーストしたのだと。
となると、「どこからコピーしたのか」を調べる必要があるが、これは簡単な作業だった。概要するブラスパートは二箇所しか演奏されていないからだ。難なく直前の演奏であることを突き止めた。流石にレコーディング記録にもここまでは記録されてないため、マニアには興味深い新ネタのひとつとすることができた。

2013年2月20日水曜日

iOSアプリへのリソース追加

プロジェクトファイルにリソースを追加すると、ソースコード以外は自動的にアプリに追加される、と思っていたが、自動追加されないファイルもあるようだ。

このような場合、プロジェクトにリソースファイルを追加した後、TARGETS / Build Phases / Copy Bundle Resources に追加すれば良い。

2013年2月17日日曜日

全曲バイブル回想録 Honey Don't

この時期のレコーディングセッションではミキシングの際にも新たな音を追加している事がKansas Cityの調査から判明していたが、この曲では部分修正も行われていることが判明した。

部分修正と言ってもテープ編集によるものではなく、4トラックテープを回しながら、同時にリンゴがボーカルパートを歌って差し替える、という方法である。何故断言できるかと言えば、差し替えられた箇所の前後にテープ編集特有のズレが無いからである。

更に重要な発見は、ボーカルがタンバリンと一緒に録音されている点である。つまり、ボーカルの差し替えられた箇所ではタンバリンも差し替えられていたということである。タンバリンを差し替える必要は全く無いことからボーカルとタンバリンが同じトラックに録音されている事は明白である。問題は、何故ボーカルとタンバリンを同じトラックに録音したか、という事に尽きる。この曲にタンバリンが必要なのであれば、別のトラック(例えばリードギターのトラック)に入れれば良いのだから、わざわざボーカルトラックに入れた特別な理由があるはずである。考えられるのは、リンゴ初のアフレコとなったボーカル録りが上手くいかなかったのでは、という理由である。ドラムスを離れたリンゴのボーカルはリズム音痴になってしまい、タンバリンを叩きながら歌うことになったのではないだろうか。それでもリズムのずれてしまった2箇所をモノミキシングの際に差し替えることになった、というのが一番説得力があると思う。

2013年2月16日土曜日

全曲バイブル回想録 Kansas City

同期再生による比較の有効性を確信した曲である。
モノバージョンとステレオバージョンでは、前半のピアノは同じなのに後半は全く別演奏になっている。耳で判断する場合、違う点の指摘はできるが、同じであると言い切る事は難しい。同期再生では同じである事を証明できる点が画期的であり、これを根拠に推理を巡らすことができる。
この曲でも、前半のピアノが同一で後半はコーラスのみが同一となる事から、後半はピアノだけがミキシング時にリアルタイムで演奏されたもの、という有り得ないような推論を自信を持って導き出すことができた。

更には、レコーディングしたマルチトラックテープが残っていたとしても、新たなミキシングでリリースバージョンを再現することが不可能であると判明した。

2013年2月15日金曜日

NSURLConnectionはキャッシュに注意

NSURLConnectionによるダウンロードのコードは簡単に見つかると思うが、実装にはキャッシュの注意が必要。

NSURL *url = [NSURL URLWithString:@"ダウンロードしたいファイルのURL"];
NSURLRequest *req = [NSURLRequest requestWithURL:url];
NSURLConnection *conn = [[[NSURLConnection alloc] initWithRequest:req delegate:self] autorelease];

こんな感じだと思うが、この場合、NSURLRequestUseProtocolCachePolicyの指定となるためキャッシュが効いて、必ずしも最新情報が得られない。それどころかネットに繋がってなくてもダウンロードが正常終了するので要注意。

NSURLRequestの作成を以下にすればキャッシュをクリアして実際にダウンロードを行う。

NSURLRequest *req = [NSURLRequest requestWithURL:url
 cachePolicy:NSURLRequestReloadIgnoringLocalCacheData 
timeoutInterval:60.0];

2013年2月10日日曜日

全曲バイブル回想録 Blackbird

イントロに何かあるのは10年以上前の自費出版本の頃から分かっていたが、さほど重要な事とは気付かず、この曲は採用しなかった。今回は全曲を記載するという前提があったので、何かネタはないかと注意深く分析せざるを得ない状況だった。

当然、いくつかの偶然が必要だった。キッカケは俗にピーター・セラーズ・テープと呼ばれるリリース前テイク集。もちろん証拠能力はゼロであるが、「イントロが全く違う」という認識を持つことができた。当初、モノバージョンとステレオバージョンとのイントロの相違は、モノバージョンだけリミックスによる差し替えを行なったと判断していた。ところが、イントロが全く違うとなると、リリースされたイントロはどこから来たのか、という疑問が生じてしまう。手っ取り早くイントロのギターと直後のボーカルのバックのギターが同期するように調整してみたら、これがまさかのBINGO!

となると話は簡単。最初のモノミキシングで作成されたリミックス・モノ6(これがピーター・セラーズ・テープなのだろう)はオリジナル演奏のイントロであったが、それは却下。ボーカルのバッキング部分のギターを抜き出してイントロとする正式バージョンがモノとステレオで別々に行われたと結論付けることができた。

全曲バイブル回想録 Words Of Love

楽器の音がユニゾン(同音で複数)になると、個々の分析は半端なく難しくなる。この曲のギターが正にそれだった。モノバージョンとステレオバージョンでギターが分離できたら良かったのだが、この曲ではほとんど相違が無かった。

使用されたギターは12弦ギターである、というのが執筆チームの大勢を占めていた。ただ、長年、ビートルズのギターコピーに全精力を注いできた者として譲れないポイントがあった。リードギターがDコードのアルペジオになる箇所で、12弦ギターなら聴こえるはずの1オクターブ上の音が聴こえない。1弦と2弦は同じ音程の弦を張るが、3〜6弦は1オクターブ上の弦とペアにするのが12弦ギターである。Dコードで3弦のラの音を弾く時は1オクターブ上の音も出るはずである。リッケンバッカーは1オクターブ上の弦を下側にするため、響きが弱くなるという特徴があるが、曲の最初から最後までオクターブで鳴っている形跡がない。これが6弦ギターを主張した根拠である。
「この曲のレコーディングの時は弦が切れてて」なんて証言が出て来たら一溜まりもないが、この記載に関する全責任は私にある。

2013年2月8日金曜日

全曲バイブル回想録 Wild Honey Pie

マーク・ルイソン著となる「レコーディング・セッション」において、何となく想像ができるけど詳細は怪しい、というもののひとつにADTがあった。テープディレイなのだろうが、オシレーターなるもので遅延時間を変更できる、という理解である。

この検証に最適なミキシングをしていたのが『REVOLVER』だった。ボーカルのダブルトラック効果を明確にするために、原音とADTが左右に完全に分離されていたのである。細かな同期を考慮する必要もなく、一方のチャンネルを30ミリ秒ほどズラすと、ボーカルの音像がひとつになった(指紋照合で2つの画像が重なる感じ)。これで謎のひとつは解明できた。ディレイタイムが変更できるテープディレイという理解で問題なかった。

もうひとつ、While My Guitar Gently Weepsで行われたというオシレーター操作という謎もあった。モノバージョンのギター音を聴けば、ディレイ音のピッチが揺れているのであろう事は想像が付くが、ステレオバージョンとの比較では、単にADTのディレイ時間の相違以上のものを聴き分けるのは難しい。ギターの各音が短いので判別し辛いのである。

と思っていたら、意外なところに良いサンプルがあった。Wild Honey Pieに入っているスライドギターのような音である。この音はモノバージョンとステレオバージョンでは全く違っている。つまり、テープにレコーディングされている音ではなく、ADTで作られたものである。しかも音の揺れ方が違う事から、これがオシレーターによって操作された音とみて間違いない。流石に前述のレコーディング・セッション本でのこの曲の扱いは軽く、全く触れて無かったので、めでたく新情報の提供となった。